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2019年7月25日

長浜の家

畳敷きと板の間がそのままひとつにつながった、大きな吹き抜けのリビングが特徴的な家です。一階の中央に檜の大黒柱が大きな木の幹のように立ち、二階の床を貫通して、屋根を支えています。階段をあがった二階が子世帯の、一階の奥の和室が親世帯の寝室エリアとなっています。

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一階部分の天井にも漆喰を塗って真っ白く仕上げ、リビング全体に明るい印象をもたせました。ゆるやかな階段をあがった二階は、まるで大黒柱に支えられて宙に浮いているかのよう。家の中にもうひとつツリーハウスがあるような、不思議な感じです。

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玄関は和風に。無垢の木が見せる景色を大切にするために、材料の選定や柄合わせには、気を遣います。図面にはあらわれない、大工の感性による仕事です。

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玄関扉は細い竪格子で、外からの視線をさえぎりつつ、通風や採光を確保しています。玄関脇の靴箱の天板は、目の詰んだ樹齢250年の赤身の杉の一枚板です。玄関は家の格をあらわすので、大事な空間です。

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リビングの障子の向こうは、広縁です。明るく、冬もあたたかい、気持ちのいい空間です。

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二階へと続く階段は水中乾燥材の檜。油分の多い檜の肌は、緻密で、輝きを放っています。階段の勾配はゆるく、踏み板は広く作りました。

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畳空間の真上に、梁が連続してかかっています。無理をかけずにじっくりと乾かした、水中乾燥材は、特に杉の赤身の木肌が美しく、木組を見せるのには最適です。

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広縁との間の建具は、雪見障子になっています。組子のデザインも、リズミカルな感じに遊んでみました。照明も間接照明を仕込み、木組をさりげなく浮かび上がらせています。

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二階への階段をあがりきるあたりから見下ろした景色です。整然と並ぶ梁が、力強く見えます。

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「縁側のある家が欲しい」というのが、建て主さんの最初の希望でした。明るい広縁は、部屋とまではいかないけれど、日向ぼっこしたり、猫と昼寝したり、孫がおもちゃを出して広げたりできる、ほっとする空間です。こうした空間の存在が、心のゆとりを生みます。

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広縁の突き当たりにある親の寝室には、床の間を設けました。小さな床でも、床の間があることで、暮らしに季節感や彩りを添えることができます。

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二階の寝室。山小屋の屋根裏といった風情です。一階の広々した共有空間とは対照的な、親密な雰囲気です。

2019年7月25日

石山寺の空を望む家

石山寺近くの家ということで、周囲の光や景色を取り入れて暮らすことができるように、ガラス張りのリビングを二階に持ってきました。バルコニーと一体になった家の外観の美しさに、石山寺を訪ねる人が足を止めて見とれるほどです。特に夜、天井裏の無垢材がライトアップされる演出は抜群です。

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玄関側は、白壁と木とで構成される落ち着いた外観となっています。

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南面のバルコニー側にまわると、様子ががらりと変わり、ガラスと木で構成された、室内と外との自然が一体になった空間となります。屋根裏が室内外を通してひとつの面になっています。

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二階のバルコニーに面して開かれたリビング。高い部分にガラスを積極的に使うことで、室内に居ながらにして、石山寺境内の緑や空と、いつも一緒に在る暮らしが実現しました。

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開放的なリビングの一端に、格子壁にゆるく囲まれたシンプルなオープンキッチンがあります。径の大きい木の木目の美しい板を側板に使いました。

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2階のバルコニー側から玄関側を見たところ。片流れの天井の斜めのラインと、太い梁、おおらかに組まれた格子壁、細みの階段まわりの手すり、障子など、さまざまな太さ細さの、直交するデザインとが織りなす、シンプルでありながら、リズミカルで豊かな構成。

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一階へとおりていく階段は、宙に浮かんだような軽やかなデザイン。お風呂とトイレは、ひとつの木の空間にまとめました。

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バルコニー側からの夜景。

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バルコニー脇に縦に通した板のスリットから明かりが洩れるのが美しい。

2019年7月25日

今出川の家

御所の西に建つデザイン住宅です。設計はMsの三澤文子さん。狭い敷地に通り庭のある「京町家」の記憶を再現しようと、ペントハウス付きの木造三階建てに。細長い敷地にガレージを2台分とるために、日本初の木質製材ラーメン構造とMsが得意とするJパネル+Dボルト工法を採用しました。

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ここにはかつて、奥に細長い通り土間のある、京町家がありました。施主さん家族はこれから、その記憶を大切に受け継ぎながら、現代の京町家をつくり、住み続けていかれます。

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新築したこの京町家にも、表からずっと奥まで、軒下を下足のままで通ることのできる「通り土間」をもうけました。その中程に、玄関があります。

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1F部分は駐車場が大きな面積を占めていて、生活空間は2Fより上にあります。明るい肌の木の色と、白壁と、ブルーグレーとが基調となった、おしゃれなインテリアでまとまっています。

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3Fのペントハウスから見下ろしたところ。

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屋上へとあがる階段。京町家では、昔から、間口がせまい中で、引き窓をつけるなど、採光の工夫をしていました。現代の京町家も、隣が迫って建っている立地条件の中、昔と方法は違っても、採光の工夫は必須です。