定年退職後に、趣味の陶芸や友人との団らんを楽しむために建てた、石場建ての離れです。日常とは違った時間が流れる空間ができました。

焼き杉板を縦張りした黒い壁と、深い軒の下の黒い敷き瓦、南面の開口部一杯に広がるガラス入りの引き戸とが特徴的な外観を形作っています。

引き戸をあけると、外から続いた敷瓦の土間になっています。土間では、陶芸などの作業に用いています。延べ石に柱を直接建てた石場建てです。足固めの下は無双窓になっていて、通風を確保できるので、夏、涼しいのです。

土間の上を見上げたところ。屋根を支えている梁があらわしになっていて壮観です。建て主さんがこの力強さに見合う囲炉裏の鈎を見つけて、吊り下げられました。

居室は、和室の座敷と板の間の二間。板の間には囲炉裏があります。「男の飲み会」を楽しめる場所です。

唐招提寺とも似た、おおらかな雰囲気。住宅街の坂をのぼってくると、だんだんにこの家の全貌が見えてきます。

バーナーで焼いて表面を炭化させた焼杉の壁。防腐性にすぐれています。黒光りしています。

外回りの建具は木製建具。断熱性能よりも、ガラスの表情にこだわりました。

雨樋がないので、いぶし瓦の美しさが、より強調されます。

雨落ち部分には、瓦を地面に差し込み、黒い石を敷き込みました。手前を白石、向こうを色のある石を敷き詰めて、楽しい石の庭としました。